常勝を望むサポーターとの温度差
フランスサッカー史で唯一チャンピオンズリーグ優勝経験のあるマルセイユに求められるのは「常勝」。常にポディウム(表彰台)を競う存在でなくてはならず、ウルトラスを初めとするサポーターたちは、たとえそれが未来への投資期間だと頭では理解できたとしても、目先の成績不振にはハートが納得しないのだ。
元フランス代表のビセンテ・リザラズもサッカー番組で憂いていた。
「若手を育てて時間をかけて強いクラブを作りたい、というクラブの考えと、すぐにでも結果を手にしたいサポーターの間にかなりの温度差がある」
サポーターだけではない。
現在のマルセイユのシンボルともいえるフランス代表のMFマテュー・バルブエナは、「マルセイユは、常に首位を競ってきた。今のようなポジションに甘んじる状況に戸惑っている」と話し、ベテランCBディアワラも「正直、今季の優勝はもう無理。そんな状態で自分を奮い立たせるのは難しいものがある」と、すっかり士気が下がりきっている。
問題は、このような状況の中ではインビュラやトーバンらのような逸材が、のびのびと成長できないことだ。すでに即戦力として起用されているインビュラは「自分に期待がかかっていることは十分わかっている。もっと自分の力を出さないといけないと自覚はしているのだけれど…」とかなり焦っている様子。
前所属先のリールともめにもめて獲得したトーバンの周りにも「あんなに手こずって手に入れたわりには…」というガッカリ論が漂っている。
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