日々高まるインテリジェンス
逃げのパスを出して展開をどん詰まりにするのではなく、積極的に周囲を動かすパス。長友が基点となり、パラシオを経由しボッタのシュートに結実した後半38分のカウンター、そしてルーズボールの奪取からパラシオを見抜き、カウンターを演出した42分のプレーは秀逸だった。
出し手と受け手が上手く動けば、少ないパス交換で敵陣を切り裂く事が出来る。このメカニズムを各選手に浸透させることが、マッツァーリ監督の戦術の原点とするところである。
この指導に沿うことで、長友は得点センスのみならずゲームメイクにおけるインテリジェンスも高めている。なるほど、本人がそれを実感しているから、「サッカーが楽しい」という言葉も出てくるわけだ
ファンやメディアのプレッシャーが強いビッグクラブでは育成というスタンスが取りにくく、「選手も結果を気にしてしまうので難しい」とマッツァーリ監督は試合の前日に語っていた。しかし困難な状況下での練習を通し、長友を着実に成長へと導いているプレーを見る限り、方向性は間違っていないという印象がする。
あとは成長しながら結果を出せるか、月並みだがそれがインテルの命運を分ける。長友もこの日は5度クロスを上げるチャンスがあったが、次回以降はそういったチャンスを確実に点へと繋げ、様々な雑音を封殺して欲しいものである。
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