巨匠が残した遺産
「最近、具合が良くみえないので、電話で話すたびに『大丈夫ですか』と聞いていたんだけれど『ワシは大丈夫だ、大丈夫だ』と言うばかりで、それ以上の隙を与えてくれなかった」とチャビが言えば、ある記者は電話したところ、「今ちょっと取り込んでいるので、かけ直す」と言われ、実際、電話をかけ直して貰ったが、その“取り込んで”いたのは検査をしている最中だったからだと、亡くなってから知った。
アラゴネスの最期をみとったギジェン医師は、「私達は何も言わなかったが、悲しい目をしながら、彼はすべてを理解していた」と話し、「彼はチャンピオンのごとく去った」と表現した。アラゴネスは、最後まで「アラゴネス流」を貫いたのだった。
一つの伝説が去った。だが、その巨匠の遺産は、今後もスペインリーグを支え、サッカーを愛する人々を楽しませていくことになるだろう。
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