「国歌を聞いた時はヤバかった。鳥肌が立ちました」
イタリア人指揮官の意表を突く采配がいきなり的中する。前半11分、中村憲剛が落としたボールを右サイドから駒野友一がダイレクトで上げ、中央に走りこんだハーフナーが打点の高いヘッド。待望の代表初ゴールを奪う。
アジアの格下チームにとって194センチの長身FWの存在は明らかに脅威だった。勢いに乗るハーフナーは前半35分の駒野の3点目の起点を作り、後半2分には再び駒野のクロスから自ら5点目を挙げる。
この直後に李と交代し、ベンチに退いたが、50分足らずで2点というのは十分な結果。中村憲剛ら周囲との呼吸も合っており、チームも8-0で圧勝と、彼自身が勝利の原動力となる働きを見せた。
「代表初先発? 国歌を聞いた時はヤバかった。鳥肌が立ちました。2ゴールはうれしいけど、この相手なんで…。今日は先発があるかなと思っていたけど、代表初ゴールは素直にうれしい。ドンピシャでした。
クロスの入り方は工夫してます。自分は1回引いてスペースを作って飛び込むタイプ。そうすれば自分のタイミングで飛べるんじゃないかと思いながらやってます」とハーフナーは相手との力関係を推し量りながらも、自分なりに納得する仕事ができた様子だった。
次の11月のタジキスタン・北朝鮮の2連戦には、6月のペルー・チェコ2連戦からチームを離れていた前田僚一が復帰。李もメンバーに名を連ねたため、1トップ候補は3人いた。それでもザック監督は3次予選突破のかかるタジキスタン戦でハーフナーを連続スタメン起用。
ここで続けざまにゴールを奪い、圧倒的な存在感を示せば、1トップ争いで優位な立場に立てる。彼にとってこの一戦は非常に大きなターニングポイントだった。