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アジア 11年前

新天地はラオス。17ヵ国でプレーしてきた異色の選手・伊藤壇。アジアの開拓者としての矜持

text by 本多辰成 photo by editorial staff

日本人の力も借りて発展し始めたラオスサッカー

 東南アジアを流れる大河・メコン川を挟んでタイと国境を接する国、ラオス。文化的にはタイと兄弟のような関係にあり、それぞれの言語であるタイ語とラオス語もお互いに方言のような近さであるため、スペイン語とポルトガル語などと同様にそのままコミュニケーションも可能だ。

 だがタイとは異なり、ラオスの人口はわずか600万人強、経済規模もタイの30分の1にも満たない小規模な国だけに、サッカーの世界も急速な成長を見せるタイリーグと同じようにはいかない。そのため、伊藤にとってもこれまでラオスでのプレーは実現することがなかった。

「もともとラオスには興味があったんですが、外国人がプレーしていなかったんです。それで候補から外れていたんですが、最近になってラオス・プレミアリーグという形でプロ化して、去年くらいから外国人も獲るようになったというのを聞いて。今回は最初、モンゴルで指導されていた今井敏明さん(元・川崎フロンターレ監督)から、ラオスにいる関口さんを紹介してもらったんです」

「関口さん」とは、日本サッカー協会からの派遣で2012年よりラオスサッカー協会技術委員長を務めている関口潔氏。昨年まではラオス代表監督を木村浩吉氏(元・横浜Fマリノス監督)、ラオス女子代表監督をJICA(国際協力機構)から派遣された本間圭氏が務めるなど、「日本サッカーに倣おう」というスタンスにおいてはタイと共通するものがある。

 そういった流れのなかで、ラオスサッカーも少しずつではあるが発展。昨年にはラオス・プレミアリーグも立ち上げられたため、晴れて伊藤にとっての17ヵ国目の挑戦の舞台となった。だが、やはり今回も契約に至るまでの過程は一筋縄ではなかったようだ。

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