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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その3)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by Kiwamu Kabe , editorial staff

選手が何か聞いただけでメンバー外にする監督

――子どもが育つ上では環境が重要だと思いますが、指導者も自身の価値観を形成していく上で、環境が重要になると思います。

加部 旧態依然とした指導を行っている学校では、指導者の体制もボトムアップできていないですよね。コーチが監督に物を言えない体制ができあがってしまっている。

幸野 小さい頃から先生が間違っていると思ったときに、そのことを先生に伝えられるような教育がされていれば、監督にも意見が言えるはずです。でも、結局何も言えないままになってしまう。

加部 日本協会も自分の考えを主張できる子育てを奨励しているけど、現実問題として、Jクラブの監督にしても、そういう意見を一切受け付けない人がかなりいる。選手が何かを聞きに行っただけで、文句を言われたとメンバーから外してしまうみたいなことがあるのが現実です。

幸野 それはサッカーだけじゃなくて日本社会全体に当てはまると思います。やっぱりサッカーだけを切り離すことはできない。サッカーのために社会を変えろというのはおかしいと思うけど、サッカーで見られる問題は、社会で起こっていることと連動していると思います。今サッカー界で求められている変化は社会全体に必要なのではないでしょうか。

――ビジネスマンは、スポーツのマネジメント論が好きな方が多いですよね。そう考えると、スポーツで畑喜美夫さん(安芸南高校監督)みたいな人が出てきて影響力を持ってくると、社会全体にも波及する可能性はありますよね。

幸野 そうですね、その流れには期待しています。

(次回に続く)

それでも「美談」になる高校サッカーの非常識
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それでも「美談」になる高校サッカーの非常識
加部究・著
■高校サッカーの不都合な真実 ■指導者たちが抱えるジレンマ
■理不尽な指導がなくならない理由 ■「楽しむ」を悪にしない指導者たち
■未来 「育成」のあるべき理想像とは?

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