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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その3)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by Kiwamu Kabe , editorial staff

なぜ本の中で実名を伏せたのか

【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その3)
【写真:編集部】

――学校を選ぶ側が、しっかりと見極められるということも大事だと思います。しごきがあると覚悟してその道を選ぶというのもあるでしょうし。

加部 確かにそれはあるんですよ。ボトムアップ系の高校でプレーしていた選手が、「僕このままじゃ走れない選手になっちゃいます」と言って転校していくみたいなケースもある。その子の判断で転校したわけだけど、ボトムアップ的なやり方で、しっかりと結果も出るということを、もっと知識として浸透させる必要があることは確かでしょう。

幸野 そういう意味では、やっぱりボトムアップ的なやり方を取り入れている学校に勝利して欲しい。それが人々の考え方を変えるきっかけになると期待しています。

――今回の本(『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』)に対する感想で、なぜ一部の高校や指導者名が匿名なのか、という声がありました。これに対して加部さんはどう思われますか。

加部 そもそも犯人捜しがしたいわけではない。それより、被害者の声を拾って、こういう実態があるから、しっかりと進路を選んでくださいね、ということを報せたかった。もちろん、匿名でもすべて取材をした事実だけを書いています。

――そうですね、そもそも体罰やしごきを課している本人はその事実を認めないでしょうし、メディアに出ている話と実態が違うということは珍しくない。

加部 そうです。僕たちもそういうところには本当に気をつけなきゃいけない。たしかにメディアが結果を見て称賛し、片棒を担いでしまうケースはあり得るから。また、理不尽な指導については2パターンあります。本当に悪意に満ちていて、狡猾にやっている人と、本当にこれが生徒のためになると信じてやっている人に分けられると思います。

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