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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その3)

理不尽な指導はなぜなくらないのか? なぜいつまでたっても真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透しないのか? サッカー界への貢献を果たす一方で様々な弊害やひずみも生んでいる高校サッカーの問題点を昨年末に『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(カンゼン)を上梓したスポーツライターの加部究氏とJリーガー・幸野志有人選手(FC東京)の父としても知られ、サッカー界の育成における問題を解決すべくサッカー・コンサルタントとして活動する幸野健一氏に語っていただいた。数回に渡ってお届けする。

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by Kiwamu Kabe , editorial staff

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環境さえしっかり整備していれば、今の3倍くらいは良い選手が出ている

【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その3)
【写真:加部究】

加部 サッカーってすごく抽象的だから、自分が子どものころにサッカーをやっていた人たちが親になって、あのサッカーは酷かったよな、こういうサッカーがやりたいよな、という見識が出てくるくらいにならないと変わっていかないかもしれない。

――それでも日本では高校選手権や全日本少年サッカー大会のようなトーナメントがメディア、ファンを含めてすごく盛り上がります。

幸野 本来、選手権や全少が注目されていたらいけないと僕は思います。育成年代のサッカーは粛々地味にやって、プロこそが最高の舞台というようにしないと。高校サッカーや全少が悪いというわけではないけれど、あまりにも晴れ舞台になりすぎている。

 夏から予選が始まって、おそらく7、8割の高校は1、2ヵ月で終わってしまうわけじゃないですか。たった48チームのために、ほとんどの子どもが目に見えず犠牲になっているのが高校選手権です。

 だったら補欠をなるべくなくして、すべての選手がリーグ戦を毎週末プレーするほうがはるかに素晴らしいことですよね。現状、部員数が150人もいる学校では1、2割の選手しか公式戦を経験できずに終わってしまう。

 ほかの強豪校に行けばレギュラーになって伸びる可能性を持った金の卵みたいな選手がいるかもしれないのに。しかも、試合に出られないからサッカーを嫌いになってしまうかもしれない。勝手な考えですが、環境さえしっかり整備していれば、今の3倍くらいは良い選手が出ていると思います。消えている選手がたくさんいるはずなんです。

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