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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その2)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

日本はサッカーをやりすぎ

加部 別の側面から言うと、今回の高校選手権で言えば、小屋松(知哉)レベルの選手が高校選手権でプレーしていることは問題だと思います。17歳になったらサッカーはプロでやって、高校はそのまま通って卒業すれば良いし、受け入れたクラブが、学校を用意すれば良い。

 Jクラブのアカデミーの現状はスクールのようになってしまっていて、プレーヤーから月謝を取っている。だから母子家庭で貧しい子は「中学の部活でやるしかないんですよ」なんて言っている。ヨーロッパは逆ですよね。才能のある子には、クラブが様々な費用を負担し、投資している。

幸野 それにヨーロッパでは、育成カテゴリーでも、毎年解雇される可能性がある。日本の場合、3年間そのままになってしまうから、どうしても「ぬるま湯」になってしまう。とはいっても、選手を1年で解雇したとすると、その選手の受け皿がないから困るということになってしまって結局それはできない。

 僕は厳しいようだけど、才能がないとわかれば早く別の道を目指したほうが良いと思う。別の人生を見つけたほうが幸せなんじゃないかと思うし。日本はサッカーをやりすぎなんですよ。

加部 そうそう。日本と韓国が世界一ですね。

幸野 世界一やっていても、世界の30位くらいまでしかいけない。日本社会は長く働いたり、長く練習したりするほうが良いと考えているところがありますが、もっと効率を追求すべきです。サッカーの練習にしたって、90分、長くても2時間でメリハリをつけてやったほうが良い。

 オフがなければオンなんてありません。日本はずっと80%ぐらいのオンの状態なんですよ。だから強弱がない。よく外国の指導者に言われたのが、日本のサッカーはスピードが一定だということです。「遅い」があるから「速い」があるのであって、ずっと速かったら速く見えないだろうと。

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