流れが変わる現象は必ずある
前半を狙い通りの展開で終えると後半15分、ついに先制点を奪う。右サイドで相手にとって怖い仕掛けをやり続けていた小川が深い位置まで抉り、折り返すと宮内が走り込みワンタッチシュート。欲しかった先制点をとることができた。
ここまで最終ラインは我慢強く守れていた。得点後はえてして相手のペースになるものだ。
ラインの高さを設定して引いていたが、相手の圧力に負けさらにズルズルと引かされ始める。アルディージャの時にもよくあった展開だが、意図的に引けている時と、引かされている時では意味合いが全く違う。DFラインとMFラインの間でターンをされ、ミドルシュートを打たれるシーンが出てくると黄色信号である。この日も全く同じ展開となり、何か手を打たなくてはと思っていた。
相手の左サイド、つまり自分達の右サイドがやられ始めているのはわかっていた。またMFがボールにアプローチしていくことができてなかったので、そこにエネルギーを持たせることは必要だった。
最初の交代はベテランの山根と怪我が治った道口を入れた。左利きの道口を左サイドハーフに入れて、左の鈴木を中央に持ってきた。自分達の修正すべき点は右サイドだったが、ここがこの時点では動けなかった。それが仇となり、残り10分のところで追いつかれる。
試合の流れというものは必ずあって、お互い集中力を持って戦っている試合ほど流れは急激には変わらない。流れが変わる現象は必ずあって、それを選手、監督は正確に見抜くことが重要になってくる。
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