モウリーニョが求めた「トータルな貢献」
チーム内での好評は容易に想像がつく。チェルシーでの最終戦となった19日のユナイテッド戦、後半にアップを終えたマタは、投入を待つジョン・オビ・ミケルの肩をポンと叩き、笑顔で一声かけてベンチに戻った。
既にチームを去る決心がついていたのかもしれない。移籍が現実味を帯び始めたのは、マタが早期交代に不満を抑え切れなかった、元日のサウサンプトン戦だったのだ。
試合は、代わったオスカルと、攻守に走れるウィリアンの同時投入が奏功してチェルシーが勝利したが、53分の交代は辛かったはず。それでもマタは、その後の試合でベンチが続いてもムードを壊さなかった。人柄の良さとプロ意識の高さが窺い知れる実力者が、同僚に慕われないはずがない。
指揮官も、放出翌日のストーク戦(FAカップ)後に「全力でトライしてくれた」とマタを讃えた。但し、「だが無理があった」と付け加えてもいる。モウリーニョが求める「トータルな貢献」において、マタには限界があった。
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