「何とか引き分けて帰れるのはよかったと思います」
ザック監督は「長谷部は少し高い位置にいて、ゴールを背負ってのプレーになれていないところがあった。長谷部を遠藤の近くでプレーさせ、距離感を近づけるために阿部を下げて清武を入れた」と交代理由を説明したが、長谷部自身は前半45分間のパフォーマンスには満足できなかったに違いない。
本田というフィジカルとスキル、創造性を併せ持ったレフティの穴を埋めるのがいかに難しいかを指揮官も選手たちも改めて痛感したはずだ。
それでも、チームが勝ち点を取れたことに長谷部は安堵感をのぞかせた。
「どちらかというとウチの方がチャンスが多かったと思いますけどね。でも決めるところを決めないと。それはいつもそう。決めるところを決めないと苦しいゲームになるし、逆に相手にも数回危ないチャンスを作られているから。
3次予選6試合ある中で、このアウェー戦が一番難しい試合だと思ってましたけど、その通りだった。何とか引き分けて帰れるのはよかったと思います」
後から振り返ると、このタシケントの試合に勝っていなければ、日本の3次予選はかなり苦しいものになっていた可能性もある。それだけウズベキスタンという国は難敵だった。実際にホームでは敗れている。
ザックジャパンの停滞と本田の不在は重なる。そしてトップ下の代役探しに奔走することになる。長谷部にまでその役を任せたのだ。今振り返れば、混迷の時期であり、また本田の不在が最終予選ではなく、3次予選であったのは不幸中の幸いだったと言える。
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