キャプテンマークを巻いたエースの咆哮
ルール地方の地元誌「RevierSport」(2014年1月27日付)の一面を飾った写真は、左腕に固く白いキャプテンマークを巻いて背に白く大きく背番号25を刻むフンテラールと、満面の笑みを浮かべて彼に駆け寄る内田篤人だった。
「Traumstart fur Huntelaar and Co.」(2014年1月27日付Kicker誌)
「フンテラールと仲間たちにとって夢のようなスタート」
内田が外をムダ走りする。ファルファンが鋭いクロスを上げる。ボールの先のフンテラールがヘッドで突き刺した。前半34分、まさに号砲と呼ぶに相応しい一撃だった。誰もが待ちわびたエースの咆哮と帰還を、仲間が祝福する。
シャルケはブンデスリーガ後半戦初戦を、ハンブルクのアウェイで戦う。試合に臨むにあたり、単純に前半戦終了時の順位だけを見ればシャルケが優勢のように見えた。シャルケは7位で、HSVは14位である。
それでもHSVとの第1戦は3-3のドローで終え、前半戦を通した戦いも波に乗れないなど、どこか安心し切れない、というのがシャルケを取り巻く人たちの正直なところだったろう。
それはブックメーカー「Tipico」のオッズ「HSVの勝利:2.9倍 ドロー:3.4倍 シャルケの勝利2.5倍」にも現れている。賭博屋の予想の向こうに、ゲームを取り巻く人々の心理が見え隠れする。
【次ページ】ボランチとしてのボアテング