それぞれの進路
なお、南部と牧野には、一応就活についても訊ねたのだが、「サッカー以外の仕事に就くなんて考えられない」「いやいや、おれのほうがムリ」と即座に返ってくるあり様で、まったく話にならなかった。
ふたりを中京大に導いたのは、当時監督を務めていた西ヶ谷隆之(水戸ホーリーホックヘッドコーチ)である。かつて東京ヴェルディの育成組織の指導スタッフで、直接受け持った時期こそないが、能力を買っていた。西ヶ谷の語る今後の展望は次のとおりだ。
「健造はストイックで真面目に取り組む一方、空回りしそうなところだけが心配。ピッチで味方を生かし、生かされる関係を構築できれば、持ち前のゴールに向かう貪欲さがよりいい形で発揮されるのでは。
修造のサッカーセンスは高いものがある。課題は守備とフィジカル。ストロングポイントを伸ばすと同時に、ウイークポイントを消していってほしい。ふたりとも今年が勝負ですね」
最後に他の92年組の現状報告を行い、本稿の締めくくりとしたい。第1回でお伝えした渋谷亮(中央大3年)は「中途半端では終われない」と、今年はサッカーに集中すると意を決した。また、第3回で取り上げた高野光司は、1月23日、今季からJFLに昇格したアスルクラロ沼津に所属することが発表された。
あと1ヵ月もすれば、春の息吹。それぞれの新たなシーズンの幕開けだ。
(文中敬称略)
【了】