南部、「孤高の天才」か?
昨年12月18日、インカレ(全日本大学サッカー選手権大会)2回戦が行われた、江戸川区陸上競技場を訪ねた。対戦カードは鹿屋体育大 vs 中京大。中京大には、南部健造と牧野修造がいる。
大会パンフレットの選手紹介には、3番MF牧野「高精度のロングフィードでチャンスを演出」、10番FW南部「孤高の天才」とあった。学生スポーツのノリである。好きだなぁ、こういうの。キャッチフレーズ作成を仰せつかった部員を中心に、わいわいアイデアを出し合う場が浮かぶ。
ほかで僕が注目したのは30番GK城森康誉「口が達者な努力家」。ふだんは軽口ばかり叩いているけど、やることやってんのよ。28番FW影山貴紀「山あり谷ありのシャドーストライカー」。いったい、彼に何があったのだろう。
それにしても南部の「孤高の天才」は、ハードルを上げきった感がある。孤高も天才も言葉が強い。合体して、さらに強度が増す。ピッチで王様を気取っているのかと見る向きもあろうが、僕の知る彼はそういうタイプではない。こうありたい自分とのギャップを常に意識し、もがいている人だ。
中京大は、九州チャンピオンの鹿屋体育大に粉砕された。1‐6の惨敗。ボランチの牧野は守備に忙殺され、南部が仕掛けようとするカウンターも威力を発揮できなかった。こうして南部と牧野の大学3年目のシーズンが終わった。
日をあらため、正月に帰省中のふたりに話を聞かせてもらった。
「相手どうこうではなく、自分たちの問題。準備段階で、勝ち進めるチーム状況ではなかったと感じます。メンタル的にも甘さがあった」(南部)
「恥ずかしい試合をしてしまった。夏の総理大臣杯で対戦して、いいチームだとわかってはいたけど、あそこまでやられるとは」(牧野)