チームごとに違いがある「エースナンバー」
だがサッカーの場合、「エース」という表現で特定のポジションをさすことはない。エースストライカーと呼ばれる選手はいても、その選手がつけている背番号が即、そのチームのエースナンバーということではないからだ。ブラジルのペレやジーコ、アルゼンチンのディエゴ・マラドーナとリオネル・メッシ、フランスならミシェル・プラティニやジダンと、ゲームメーカーであり、かつ得点能力にも長けた選手がつけていた「10」が、サッカーにおいては一般的な「エースナンバー」として認識されている。
しかしこれも、チームごとに違いがある。もちろん、10番をつけている選手が中心的な存在である可能性は非常に高いが、だからといって必ずしもその選手が「エース」として認識されているかと言えば、そういうわけではない。
例えばJ1柏レイソルのそれは、10番ではなく「9」だろう。現在はFW工藤壮人がつけるが、それ以前は永らくチームを牽引してきた北嶋秀朗(2013シーズンで現役引退)がつけていた。元々ストライカーに与えられる番号だが、「9」をつけてプレーした北嶋が大事な場面でチームを救う得点を決めてきたからこそ、“柏のエース=9”というイメージが定着した。同じことは、かつて“ミスターレッズ”と言われた福田正博氏にもあてはまる。
またセレッソ大阪の場合、森島寛晃氏から香川真司、清武弘嗣、柿谷曜一朗と受け継がれる「8」もクラブを象徴する番号となっている。
海外では、イングランドプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドではエリック・カントナやデビッド・ベッカム、そしてクリスティアーノ・ロナウドらがつけた「7」、オランダ代表チームではヨハン・クライフがつけた「14」がエースナンバーとされている。
日本でも、高校サッカー界においてはこうした“伝統の背番号”があり、四日市中央工業(三重)では「17」、旧清水商(静岡・現清水桜が丘)では「8」が、代々受け継がれている。
攻撃的な選手がつけることの多い7~11という背番号がエースナンバーとなっていることが多いようだが、今の日本代表で本田圭祐が「4」をつけているように、選手次第で数字の印象は変わっていくもの。
クラブチームにおいても、チームを象徴する存在として1人の選手が長い期間同じ背番号をつけ、そして活躍し続けることで、新たな数字がエースナンバーとなっていく。クラブごとにそうした数字を見つけていくと、サッカーの楽しみ方も広がっていくだろう。
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