ロブレン負傷でめぐってきたチャンス
いきなり愚痴ってしまったが、ここからは本題の吉田麻也である。
香川が窮地に追いやられている一方、シーズン半ばを過ぎてやっと麻也に見せ場が回ってきた。
25日のFA杯第4回戦を取材したが、英2部リーグ・チャンピオンシップで降格争いに巻き込まれているチームとはいえ、フィジカルが強いヨービルのFW陣を完封。麻也が“明らかにレベルが違う”というパフォーマンスを見せた。
本当に力強かった。身長191センチで、体重も90キロは越えていそうな巨漢FWミラーと対峙し、仕事をさせず。体重差は体を入れるタイミングやボールの位置の的確な見極めでカバーし、格の違いを見せつけた。
一発、一発で返す、問答無用のクリア。ヘディングの競りもほぼ全勝という感じだった。もちろん、得意の足元も素晴らしく、最前線に何度も正確な30、40メートルの縦パスを送り、一発で敵を窮地に追い込むプレーも頻繁に見せた。
今季不動のセンターバックとして君臨したクロアチア代表DFロブレンが負傷して8週間の離脱が決定。その代役として、今後の活躍が期待される日本代表DFが、このFA戦で的確なプレーを見せた。
しかし試合後の麻也は、全く満足していなかった。
「下部リーグの相手の試合はいつも難しいが、それにしても今日は、前回のバーンリー(FA杯第3回戦で対戦)に比べると、明らかに劣っていた。もっと質の高いパフォーマンスを見せなくてはならなかったが、ちょっとところどころ細かいミスが多かった。自分のパフォーマンスをもっと上げなくてはいけないので、手放しで喜べる感じではない」
試合後日本人記者団の囲みに応じた麻也は、開口一番、そう語って、「レギュラー復帰の良い助走になったのでは?」と話しかけた我々を驚かせた。