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崩壊寸前のマンU。迷走するモイーズ監督の下で香川に未来はあるか?

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

イングリッシュでも聞き取れないモイーズの言葉

 決勝に行きたかった、といえば、香川の交代もそれが理由だろう。前半、マンチェスター・ユナイテッドの攻撃陣の中では、唯一正確無比なラストパスを放って、決定機を創出していた日本代表MFを後半16分であっさり交代させた。守備力のあるバレンシアを投入したのは、後半になって押し込んで来たサンダーランドをゼロに押さえることを最優先したからだろう。

 もちろん、香川にしてみれば、心が折れるような交代だったと思う。

 試合後、香川はミックスゾーンに姿を見せず。またモイーズは明らかに憔悴した様子で、広報官が4分で会見を打ち切ってしまったため、香川、監督両人に対し、早すぎた交代理由を直接たずねることはできなかった。なので、守りを優先した「戦略的交代」という以外に理由が見つからない。

 チームが試合に勝てば、こういう選手を駒扱いする交代もしこりを残さないが、負けた場合、監督は自信を失い、選手は監督に対する不信感をつのらせるのではないか。

 モイーズ監督は、スコットランド訛がファーガソン監督よりきつく、日本人泣かせであるが、負けると訛がきつい上、語尾が不明瞭になり、さらに聞き取りづらくなる。

 ちなみに、この時の会見コメントも僕には非常に分かりづらく、イングリッシュである妻に音声を聞いてもらったが、「訛はひどいし、もごもご言ってるからはっきりしない」と、彼女にも分からない始末だった。

 まあそのくらい、何を言っても口ごもってしまうほどまいっていたのだろう。

 このコラムでは一貫して、香川にはマンチェスター・ユナイテッドで開花して欲しいと記し続けてきたが、さすがにこの試合の交代劇と、モイーズの会見を見たら“移籍”という選択も悪くはないと思えてきた。

 チェルシー戦でのベンチウォーマーという現実も厳しかったが、この試合での交代1番手という扱いからは、どう考えても、現時点でモイーズが香川を重用しているという結論には達しない。

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