「あえて飛び込まずに真ん中で待っていたらボールが来ました」
その後、ザック監督はA代初招集のハーフナー・マイクを李忠成に代えて投入。パワープレーも視野に入れた戦い方にシフトチェンジする。そして迎えた後半ロスタイム。長谷部誠のショートコーナーから清武が上げた絶妙のクロスを吉田ゴール正面で絶妙のヘッド。
これがネットを揺らし、劇的決勝ゴールが生まれる。後々の戦いを考えてみると、この1点が生まれていなければ、日本はブラジル切符を手に入れられなかったかもしれない。それほど価値のある大きなゴールだったといえる。
「相手のマークがルーズになってきてたんでチャンスあるかなと思ってました。ショートコ-ナーでかなりマークもずれてたし、立て続けのセットプレーで相手もバタバタしてボールウォッチャーになっていたんで、あえて飛び込まずに真ん中で待っていたらボールが来ました。
今季はフェンロでも1点も取っていないし、肝心なところ得点力を出せないっていうのが僕の課題でもあるんで、ここで取れてホントによかったです」と吉田は安堵感をにじませた。
それ以上に彼が達成感を覚えたのが、鄭大世率いる北朝鮮攻撃陣を完封したことだ。
「ゼロに抑えられたし、大世さんのところだけケアしておけば何とかなったんで。大世さんを封じるには、まずスペース与えないことと。かなりゴリゴリ来るんで、後ろ向いた時にできるだけ詰めて、僕と今ちゃん(今野泰幸)で必ずプレスに行くようにしていた」
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