代理人としてサンパイオらを日本へ
ただ、果実もあった。
Jリーグはビジネスになるというノルベルトの見込みは当たっていた。ノルベルトは日本で知り合ったコネクションを生かして、サッカー代理人業を始めた。
最も印象に残っているのは、パルメイラスにいたジーニョ、セザール・サンパイオ、エバイールの三人を横浜フリューゲルスへ連れて行ったことだ。ジーコのような全盛期を過ぎた、あるいはアルシンドのように無名ではない、ブラジル代表クラスの選手が三人も日本に行くことはブラジル人たちを驚かせた。
また、元ブラジル代表のエジムンドをヴェルディ川崎に紹介したのもノルベルトである。
エジムンドは問題児として知られていた。彼は絶対に日本で問題を起こすからやめた方がいいと忠告する人間もいた。実際に話してみると、エジムンドは優しく紳士的だった。そして日本で問題を起こすこともなかった。
もはや、ジーニョたち、あるいはエジムンドのような選手が日本に移籍することは難しい。
Jリーグの各クラブにかつての資金力はない。ブラジルの若く有能な才能は欧州に次々と高額で買われていく。その中で質が高く安い選手を日本に連れて行くか。あるいは日本の選手をブラジルで育成する――。時代によりやるべきことは変化するだろう。
しかし、日本とブラジル――二つの祖国を繋ぐというノルベルトの思いは変わらない。
【次週に続く】