自腹を切った放映権料
テレビ・クルトゥーラは60年に創立されたテレビ局である。68年にパードレ・アンシェッタ財団の寄付により、サンパウロ州政府が買収している。
クルトゥーラとは英語の「カルチャー」の意味で、教育色の強い番組を多く放送していた。
当初、テレビ・クルトゥーラの担当者はJリーグ放映に乗り気ではなかった。ノルベルトは放映権料を払わなくてもいいと説得した。Jリーグ映像への支払い750ドルはノルベルトが自腹を切ることにした。
日曜日の同じ時間、別のテレビ局がイタリアのセリエAを録画放送していた。セリエAの視聴率は約4パーセント、Jリーグはこれを超えることはあるまいと担当者は見ていた。視聴者の興味を惹くために、番組の最後にサイン入りユニフォームをプレゼントする企画も始めることにした。
放送を始めてみると、視聴率は限りなく零に近い数字だった――。
しかし、少し経つと状況が変わった。
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