言葉の通じない異国でプレーするのはハードルが高い
酒井宏樹にしても、マッチアップする相手によって対応を変えていくことの重要性を痛感する日々だという。
「ブンデスリーガはサイドアタッカーのレベルが高いので、まず守備力ありき。しっかり守れたうえで、攻撃がどれくらいできるか。その条件をクリアした人がいいサイドバックだと思います。バイエルンの(フィリップ)ラームだって守備をしますしね。
僕は篤人君が鹿島アントラーズ時代にどういうプレーをしていたのかあまりよく分からないけど、ブンデスで戦っている彼はものすごく守備がうまい。相手の体のリーチがある中であれだけ守れるっていうのは、経験や予測能力が長けているからでしょう。
自分が今季から試合に出るようになって強く感じるのは、サイドで対面する相手の個人能力の高さ。Jリーグだったらそこまで仕掛けてこないところでも、相手はかなり来るんで、ガチンコ勝負になることが多い。そういう中、自分は周りをうまく使ってくる選手に弱い。アランゴやロイスがそういうタイプなんで、彼らのよさをどれだけ消せるかが課題だと思います。
もちろん、タテを突破してくるリベリーのような選手も手強いですよ。バイエルン戦の時も自分1人じゃ全然抑えられなかった。嫌なディフェンスができればいいと思いながらやりましたけど、ボランチやサイドハーフの助けがあって何とかリベリーを抑えられた。
彼のようなレベルの選手を1人で抑えられるようになれば、チームにとってもすごいプラスになるでしょうね」と、酒井宏樹はドイツで右サイドバックとして戦い抜く難しさを改めて口にした。
内田は、彼らが直面しているような段階を乗り越え、現在の領域に達したのだろう。その過程にはもちろん周囲との連携やコミュニケーションの問題があったはずだ。
最終ラインの一角を担う選手が言葉の通じない異国でプレーするのは、攻撃陣よりもハードルが高い。内田自身はこの4シーズンの間に、GKマヌエル・ノイヤーや右センターバックのベネディクト・ヘベデス、右ボランチに入るマルコ・ヘーガーやジャーメイン・ジョーンズ、タテ関係に位置するジェフェルソン・ファルファンら周囲に陣取る面々とのコンビネーションを良好に保つことで、自分の立場を盤石にしてきたといっていい。
続きは『フットボールサミット第16回 ―それでも「内田篤人」が愛される理由―』にてお楽しみ下さい。