酒井高徳から見た内田篤人
2シーズン目のステフェンス時代にはコンディションと守備力を問題視され、ベンチ外の憂き目に遭うこともあったが、主力のケガも重なってシーズン終盤にはポジションを奪回。その後、チームを引き継いだケラー監督には絶大な信頼を寄せられ、絶対的な右サイドに君臨している。すでにCLには3度出場し、うち2度はラウンド16入り。1年目にはドイツカップのタイトルも手にしている。こうした戦いを通して内田は心身ともに成長し、現在ではシャルケの看板選手の1人と位置付けられている。
そんな内田の輝かしいキャリアを、1年半遅れでドイツに渡った酒井高徳は羨望の眼差しで見つめている。
「自分の篤人君との経験の差はだいぶ大きい。今の段階で言ったら天と地の差くらいあるんじゃないかな。シャルケは単にCLを戦っているだけじゃなくて、高いレベルの結果を出しているチーム。
篤人君はそこで主力として戦っている選手だし、自分の武器の出し方を非常によく理解している。ムダなことをせず、自分ができることをそのタイミングで100%出すというのがすごくうまいですよね。彼は自分の能力を見極める力が際立っているんだと思います」
酒井高徳よりさらに半年遅れてブンデスリーガに参戦し、今季から本格的に試合出場機会を得るようになった酒井宏樹も、自分の先を行く内田の動向に注目している。
「僕ら日本人選手は自分より上のレベルを求めて海外に来ています。そこでつねに背伸びしている自分がいるし、そのレベルに何とか追いつきたいと思って必死にやっています。
篤人君はそういう自分より上の環境で何年も戦ってきた選手。その分、経験値がすごく高い。代表での試合数も多いし、彼のような選手を抜くのは並大抵のことじゃない。自分が1試合よかったとしても、簡単にポジションを取って代われるわけじゃないと思います」と、3学年上の先輩の歩んできた足跡に思いを馳せながら、自分が同じポジションを争う立場であることを強く意識している。