構造を変えたJクラブユースの台頭
もちろん90年代前半までは選手権の4強~16強チームを概観すれば、高校年代を代表するタレントの多くを観ることができたし、高校年代を代表するチームのほとんどを観ることもできた。
2000年代に入っても、その初頭まではパーセンテージは落ちても、ある程度までは把握できただろう。しかし、現代日本サッカーの高校年代は、その構造を大きく変えてしまっている。
一つにはJクラブのユースチームが台頭し、タレントがそちらに集まるようになっていること。高卒でプロ入りする選手の数が逆転して久しいが、こうした傾向は今後も変化しないだろう。
ユース昇格を蹴って高校を選ぶ選手が増えたという言説も目にするが、内実は「ユースで3番手、4番手になるなら高校を選ぶ」という現実的な判断をする選手が増えたということであって、主要なJクラブのジュニアユースチームで1番手と見なされるような選手が流出するようになっているというわけではない。
寮を整備するクラブが増加し、遠隔地での中学生に対するスカウト合戦は、年を追うごとに激しさを増している。この点は富山第一の大塚一朗監督が優勝後の記者会見で嘆いていたとおり(星稜への苦言ばかりがクローズアップされてしまったが…)。
その善し悪しについての議論は別にして、「Jクラブにタレントが集まる(あるいは、Jクラブがタレントを集める)」という傾向自体は揺らいでいない。
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