Jリーグの底力があらためて問われる
「重複するチームが現れた場合には繰り上げ出場制度を設けず、スーパーステージへの出場チーム数を臨機応変に『3』ないし『2』に変更していく形をとるのならば、2ステージ制の実施は可能になる」
しかし、JリーグやJクラブの実行委員には、腹をくくって改革を断行する以上は、ポストシーズンに進出するチーム数を固定すべきだという声が強い。その場合はどうなるのか。前出の関係者が言う。
「プロ野球のクライマックスシリーズに倣って、通年のリーグ戦の後にポストシーズンを設けるしかない」
つまり、現行の1ステージ制が2015年以降も継続されることもありうるわけだ。大東チェアマンも、現状維持となる可能性が「ゼロではなくなった」とこう続ける。
「あくまでも2ステージ制でのやり方を見直すことがベース。選手会とも話をしながら、サポーターを含めた全員が納得する大会方式を議論していかないといけない」
来シーズンの事業収入を現状維持とするために、いわば見切り発車的に新大会方式の枠組みだけを決めたツケが、お粗末にも表面化してしまった。もっとも、振り出しに戻って悠長に議論を再開する時間的な余裕が十分にあるとも言い難い。
いずれの大会方式を採用するにしても、最大で3節のポストシーズンがプラスされる。現行の3月開幕、12月第1週閉幕のカレンダーなら平日開催が増え、過密日程が選手たちのコンディションを狂わせれば、肝心のパフォーマンスに影響する。それこそ本末転倒となってしまう。
2月や12月の第2週以降へカレンダーを拡大するならば、降雪地域へのサポート体制が不可欠となる。そのためには、上部団体の日本サッカー協会との協力関係をより密接なものにしなければならない。車の車輪に例えられる日本協会とJリーグだが、現在は片側の車輪だけがフル回転している状態。図らずも露呈した今回の「Jリーグ危機」を、ウィン・ウィンの理想的な相互関係を築く契機に変えなければいけない。
大東チェアマンは、2013年内をめどに方向性を出したいとしている。課題が山積している状況で、成長戦略への「一丁目一番地」となる大会方式を、スピード感を伴って議論することができるのか。前代未聞の迷走状態から、一刻も早く脱出することができるのか。Jリーグの底力があらためて問われる展開となった。
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