「今はチーム全体を見るようになった」
そうやってサッカー全体を俯瞰できるようになったのが、30台になった彼の大きな変化だ。岡田武史監督率いる日本代表でプレーしていた頃の松井は、背後にいる内田篤人や長友佑都らに「お前ら、上がってこなくていいから、俺に全部ボールを預けろ」と指示するほど、エゴイストなプレーを前面に押し出すことが少なくなかった。
けれども、スラビア・ソフィアやレヒア・グダンスクで一回り近く年下の選手とプレーする機会を持ったことで、若手を育てることの醍醐味、チーム全体の絵を描きながらプレーすることの面白さを感じるようになったという。
「昔は自分がドリブルして相手を抜き去るのが一番の喜びだったけど、今はチーム全体を見るようになった。特にグダンスクでは、監督がどう思ってサッカーをやっているのかを、監督の隣にいるような感じで見てたからね。
もちろん今でもエゴを出すことはありますよ。根っからのドリブラーだし、ドリブルはしたいからね。でも、チームや監督によって自分に求められることは違ってくるし、臨機応変に体も心も技術も対応していくのが一番いい。それができる選手が一番引き出しが多いわけだから、そういうふうにやっていきたいですね」
かつてのヤンチャな選手から大人のアタッカーへと変貌した松井大輔。彼が2014年J2を席巻する姿が今から大いに楽しみだ。
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