未だA代表キャップはなし。ザックも若手に苦言
切れ味鋭いドリブル突破でゴールをこじ開けられる宇佐美投入の期待も高まったが、ザックが最後に切ったカードは、チーム発足直後の2010年10月のアルゼンチン・韓国2連戦に招集した関口訓充。最終的に試合はスコアレスドローに終わり、宇佐美の初キャップもお預けとなった。
「試合には出れなかったですけど、初めて代表に呼ばれて練習できたのは非常にいい経験になりました」と当時19歳のアタッカーは努めてポジティブに語り、輝ける未来を夢見て、直後にバイエルンへレンタル移籍した。
そのバイエルンで試合に少しでも絡めていれば、ザックも宇佐美を呼び戻していた可能性はある。けれども、ご存じの通り彼はバイエルンでほとんど出場できず、2012年にホッフェンハイムに新天地を見出した。
そこでのシーズン序盤の活躍で2012年11月の2014年ブラジルW杯アジア最終予選・オマーン戦で再び指揮官のお眼鏡に叶ったが、ここでも出番なしに終わった。
「若手が思うように伸びず、代表に定着できていない」と指揮官はしばしば厳しい言葉を口にしたが、その苛立ちは期待外れに終わった宇佐美や宮市亮、原口元気らに向けられていた。
A代表初招集から3年近くが経ち、宇佐美は22歳になる。昨季はJ2とはいえ、得点を量産。格の違いを見せつけた。彼自身が持つケタ外れの潜在能力を十分に引き出すことができれば、日本代表にとっても大きな戦力になる。
2014年W杯イヤーに怪物と呼ばれた男の巻き返しはあるのか。まだチャンスはある。ザックは頼りになる“ジョーカー”の出現を待っているはずだ。
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