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ドログバが願った内乱の終焉。コートジボワールの平和の象徴となった“エレファンツ”

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

大統領への嘆願。国がひとつに

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国民的ヒーロー、ディディエ・ドログバ【写真:Getty Images】

 いまや国民的ヒーローであるディディエ・ドログバがエレファンツ(代表の愛称)のオレンジ色のシャツに初めて袖を通したのは、奇しくも第一次内乱が始まる数日前の2002年9月だった。つまり彼の代表キャリアは、この国の内乱の歴史とともにある。

 サッカー選手だった叔父に連れられ、5歳でフランスに移住したドログバだったが、それだけに祖国に対する思い入れはいっそう深く、代表戦でコートジボワールに帰るたびに、国民に和平を訴えている。

 2005年10月のW杯予選スーダン戦の後には、ロッカールームにカメラマンを呼び入れて、選手全員で膝まずき「北も南も、西も中央もない。コートジボワールはひとつです。この豊かな国を、戦争の犠牲にしてはいけない。武器を置いて、心をひとつにしよう!」と語りかけた。

 また2007年のアフリカ選手権予選、対マダガスカル戦は、当初会場はアビジャンに予定されていたが、ドログバが自ら当時のバボ大統領に、反対政権の陣営である北部のブアケで試合を行うことを嘆願。

 2万5000人が集結したスタジアムには、敵対する両陣営も居並び、この夜、国がひとつにまとまった。そしてエレファンツは5-0で快勝。翌日の新聞は「5ゴールが、5年間の戦争の悪夢を消し去った」という見出しを打った。

 もはやエレファンツは、サッカーというスポーツの代表チームという枠を超え、敵対する政権を調和させてしまえるほど、コートジボワールにとっては平和のシンボルであり、国民の夢なのだ。

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