煮え切らなかった6月シリーズ
「2人のよさを生かすためには、僕がすぐボールを預けるんじゃなくて、少しつっかけて数的優位な状況を作って、より長友・岡崎を高い位置に行かせるのがポイントになってくる。ビルドアップ時に僕が少しボールを運んで相手を引き出す。
それで2対1になれる状況を作りながら、彼らを押し出すっていうってのが僕が一番心がけてるところですね。長友、岡崎というのはいいものを持ってる2人なんで、そこを起点にできるようにしたいです。
ザック監督からも細かいことをいろいろ教えてもらってますし、怒られるのは僕のキャラ。嬉しいです」と全てをポジティブに受け止めて、チームの雰囲気を明るくしていた。
最初のペルー戦では出番がなく、迎えた6月7日のチェコ戦。0-0で折り返した後半19分に槙野は伊野波雅彦と代わって左DFの位置に入った。自分の前に長友と岡崎、さらに1トップは広島でともにプレーした李忠成と彼にとってはプレーしやすい環境だったに違いない。
ピッチに立ってすぐにボールを持ち上がり、李にいいクサビのパスを出す。相手がペースダウンしてきた時間帯ということもあって、槙野は自分の長所である攻撃力を発揮しやすかったはずだ。
ここからの30分間、日本は主導権を握り、積極的に攻め込む形を作る。最後のところで相手を攻略しきれずゴールは遠かったが、攻撃中心の流れで守備陣のテストは難しかった。実際、槙野のところにもあまりボールが来ず、ケルンでの半年間で磨きをかけたディフェンス力をアピールすることも叶わない。
チームも0-0という煮え切らない結果になったが、槙野自身もやりたいことの半分もできないまま、6月シリーズを終えることになってしまった。
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