フレッチャーの敬意。敵将ラウドルップも称賛
しかし、体調が戻った香川が適材適所のトップ下でプレーした場合、リーグ戦でも十分効果的な選手であることは、この試合でまた証明されたと思う。
そのことはこの日、オールド・トラフォードに駆けつけた7万人以上のマンチェスター・ユナイテッドのサポーターが一番理解していた。
スウォンジー戦の後半に入り、いいプレーが続いた香川に対し、観衆が反応しはじめた。26番がボールを持つ度にスタジアムが期待で揺れた。そしてそのファンの思いは日本代表MFにもしっかり伝わった。
「後半はホームの雰囲気も良かったです。しっかりとしたパフォーマンスを示すことで、サポーターからの信頼であったり、雰囲気っていうのは作られていくと思うので、そういうのも含めて、サポーターを味方につけるのも自分次第だなと思います」
試合後、今季ではめずらしく、晴れ晴れとした顔で香川はそう語ったが、これがプレミアのビッグクラブでプレーする醍醐味なのだろう。超満員のスタンドが文字通り自分の一挙手一投足に注目し、喝采する。
この日、長い難病との闘病生活から復帰し、最近では先発にまで戻ってきたダレン・フレッチャーは、「シンジがトップ下に入って、チームが良くなった」と話し、試合後まず真っ先に香川に敬意を表した。
そんな香川の存在感は、敵将の目にも留まる。試合後デンマーク人知将のラウドルップ監督は、マンチェスター・ユナイテッドの選手陣からヤヌザイ、バレンシアとともに「香川が素晴らしかった」と褒め、NO.10ポジションに入った日本代表MFの力を認めた。
ところが、問題はモイーズ監督だ。
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