ヤヌザイへの「9点」。妥当か?
まあこれも、日本人ライターのひいき目なのかも知れないが、1月12日付の英各紙の論調には少々辟易とした。
どこも18歳MFアドナン・ヤヌザイ大絶賛。確かに活きが良く、ゴールに結びつくクロスも放ったが、ザ・サンやテレグラフの「9点」という採点はどうだろう。まるでハットトリックでも達成したかのような騒ぎだ。
ドリブルで左サイドを抜ける姿がかつてのライアン・ギグスを彷彿させ、その人気をあおるのも分かるが、11日のスウォンジー戦、マンチェスター・ユナイテッドのもうひとつの勝因が“香川のトップ下”だったことは間違いない。
前半のユナイテッドはまさに凡庸だった。相手がつなぐスウォンジーだったとはいえ、ボール支配率はなんとアウェイのスウォンジーが65%と圧倒した。
香川本人のタッチ数も前半はわずかに26。普通の調子で、30半ばのタッチ数がある日本代表MFにしてみれば「乏しい」といっていい内容だった。
それが後半一変した。
理由はただひとつ。アドナン・ヤヌザイと香川真司のポジション・チェンジだ。
ドルトムントで欧州でも屈指のトップ下にのし上がった香川が、得意のポジションに戻って本来の力を発揮したことで、マンチェスター・ユナイテッドに今年初めての勝利が転がり込んで来た。
タッチ数も後半は47。するすると1.5列目を滑るように右へ左へ動き回り、味方の連携の要になった。
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