右サイドで起用した意図
そこからのパフォーマンスは、なかなか鮮烈だった。投入から間もない24分、エリア内に侵入し左クロスを頭で落とす。38分にはモントリーボの横パスに反応し、ダイレクトで左足のミドルシュートを放つ。強烈な弾道は枠を捉えるが、惜しくもバーに弾かれた。
アディショナルタイムを含めると、実働はほぼ30分。試合後地元記者に印象をきけば、「悲惨だったこの日のミランで唯一のグッドニュース。パーソナリティがあった」という反応が口々に返って来た。
30分間のプレーで披露したパーソナリティ、これはどの辺りを指してのことだったのだろうか。確かに本田は投入後、積極的にボールを触り、臆することなく流れの中に加わろうとする姿勢があった。
開始のポジションは右。「ワイドに張らせることで、サッスオーロの2CBを横に押し広げたかった」とアッレグリ監督は言った。もっともウインガー然に縦攻撃一辺倒になるよりは、むしろ積極的に中に入りボールを触ろうとしていたが、これ自体は許容範囲だろう。戦術の目的は相手DFの網を横に拡げ、その中のスペースを使うことにこそあったからだ。
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