大好きなお父さんのエール
「さちこ!」
私の名前だ。ハッとして顔を上げると、そこにはお父さんが立っていた。
「3年間、よくがんばったな」と、握手を求めてきた。
私は、「もう少し、一緒にいたかった……」と口にした。
「これが運命だよ……。まあ、俺はまたこれからもがんばるさ。だから、お前も明日からまたがんばれ」
大好きなお父さんのエールは、私の心の奥まで響いた。また、涙が止まらなくなっていた。
宿舎に戻ると、私は部員一人ひとりの部屋に、「ありがとう」と声を掛けに回った。試合の後に泣いてしまったことを後悔していたし、どうしても全員に一人ずつ感謝の気持ちを伝えたかった。
自分の部屋に戻ってきて、ベッドの上に座っていたら、「さっちゃん、本当にありがとうね!!」。大声と共に、みんなが部屋に入ってきた。
私がびっくりしていると、みんなの手にはコンビニのケーキが。一切れずつケーキを選んでくれたらしく、ショートケーキやチーズケーキにモンブラン、それにチョコレートケーキ……、いろんなケーキが目の前に並んだ。
「こんなに食べたら太っちゃうよ!」。笑いながら言ったけど、心の中ではまた泣いていたよ。
「ここまで連れて来てくれて、みんなありがとう! 私、幸せだった」
そう言うと、みんなは一斉に笑顔をくれた。
卒業式の日にさらなるサプライズが!? 続きは『高校サッカー心を揺さぶる11の物語』にて紹介しています。