「3年間、お父さんのそばにいたい」
そして、中3の夏休み、初めてその思いをお父さんに打ち明けた。
「私、サッカー部のマネージャーをやりたい!」。すると、お父さんは少し驚いた表情をした後、笑い始めた。
「何がおかしいの!?」。でも、すぐにわかった。その笑みは照れ隠しだと。
「本当にいいのか?」。お父さんは真剣な表情になっていた。
「うん。決めたから」
私がこう決断したのは、実はもう一つ理由がある。昔から、お父さんは家にいなかった。私たちが眠るころに帰ってきて、起きたころには練習に行ってもう家にはいない。お父さんのいない朝食と夕食が日常だった。
長期遠征で家を空けることも多くて、特に夏休みや春休みはほとんど家にいなかった。授業参観や運動会、文化祭もほとんど来てくれなかった。
サッカー部の試合や練習では会えるけど、なんだか向こう岸にいる存在のように感じていた。だから、私は他の人よりお父さんとの思い出が少ない分、高校3年間はお父さんと濃い時間を過ごしたいと思った。中学3年になると、だんだんその気持ちが強くなって、自分の中で抑えきれなくなった。
「3年間、お父さんのそばにいたい」。恥ずかしいけれど、それが私の本心だった。
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