くそ野郎、サネッティ、くそ野郎~
ミランもまた、ろくでもないコリで罰金対象になっている。昨年の2月末に行われたリーグ戦で、その日の早い時間帯に行われたインテル対パレルモ戦の試合中に、インテルキャプテンのハヴィエル・サネッティが、負傷退場した。その後、アキレス腱断裂で、6~8ヶ月の欠場と診断される。その報はすぐにミラン・ウルトラにもたらされ、その夜のカターニア戦で、早速に披露された。
「Salta con noi Javier Zanetti,salta con noi Javier Zanetti」
(ハヴィエル・サネッティ、俺たちと一緒にジャンプしろ)
掛け声が終わると間を開けず、コリ・コントロが始まる。メロディーはキューバ民謡のお馴染み『♪ガンタナメラ』だ。
「Uomo de Merda Zanetti Uomo de Merda Uomo de Merda Zanetti Uomo de Merda」
(くそ野郎、サネッティ、くそ野郎~)
訳すのもバカバカしくなるような詞だが、このコリは名前のところだけを違う選手や会長に代えて、どこのクラブも歌っている。サネッティに対する悪質コリにより、ACミランは、8000ユーロの罰金を科されることになった。
サネッティは怪我をした二日後に手術を受け、間もなく退院した。退院に当たっての記者会見ではこんなことを語っている。
「手術室に入る時も、病院の外で横断幕を掲げてくれていたティフォージの歌声が聞こえたよ!」
これを歌っていたのはまた、インテルのウルトラである。彼らもまた、普段はミランのウルトラ同様、眉をひそめたくなるようなコリを歌っている。イタリアのコリ、それは、人を貶め、そして人を励ます、諸刃の剣である。
冷静に見れば、とんでもない厄介者のウルトラ。暴力沙汰は日常茶飯事だし、クラブを脅して捕まる者もいる。たいていは裏でマフィアと結託しているし、ろくなものではない。
それでも、彼らから生み出される数々の応援歌は、スタジアムに彩りを与えている。その持ちつ持たれつのバランスが、あまり大きく振れなければ、クルヴァとカルチョは、共に生き続けるだろう。
【了】