ミラン・ウルトラの愛と罪
ミランのウルトラ(過激なティフォージ)は、ゴール裏の二階席が定位置だ。あまりに問題を起こし過ぎたこともあり、最近ではクラブ側も「目に見える」違反行為に対しては、積極的に取り締まるようにしている。
前述したカポ(コールリーダー)は、ゴール裏の二階ど真ん中にいる。最前列の手すりにまたがり、各ウルトラグループをひとつにまとめ、指揮している。カポには、カリスマとリーダーシップ、併せてセンスが必要だ。タイミングや、時事ネタを取り混ぜたコリをアドリブで発っさなくてはならない。凡人には務まらないだろう。
ここ数年で、クルヴァの勢力図もだいぶ様変わりした。
40年の歴史を持ち、最大派閥だったイタリア初のウルトラ「フォッサ・デイ・レオーニ(Fossa dei Leoni)」や「ブリガーテ・ロッソネレ(BrigateRossonere)」が、近年解散し、規模縮小を余儀なくされたため、そこから派生した新勢力がいわゆる「センター」を務めるようになっている。
応援歌の方は、過去からのモノも多分に使用している。あまりどこの団体が作ったというのは、関係がないようである。たいていは、よく知られた曲に、直球のミラン愛を表現した簡単な詞が乗せてある。アメリカのフォークソング『赤い河の谷間』や『いとしのクレメンタイン』、ビートルズの『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』、他、すぐに声を合わせられることが重要といった選曲だ。
【次ページ】インテルファンじゃない奴はジャンプしろ!