地方自治体から流れた巨額の賄賂
2009年5月にブラジルが2014年ワールドカップ開催国に選ばれ、18都市が会場に立候補したが、12都市に絞られた。この過程で、開催地を争い一部の地方自治体からCBF(ブラジルフットボール協会)とLOC(ワールドカップ組織委員会)へ巨額の賄賂が流れたとされている。
そして、12会場のうちクラブが改修資金の大半を捻出するプランを提示したのはサンパウロ、クリチーバ、ポルトアレグレだけで、残りの9会場は国や地方自治体が公的資金を用いて建設することになった。早くもこの時点で、テイシェイラ会長の”公約”は霧散したのである。
国内最大の経済都市であるサンパウロの会場は、当初、サンパウロFCが所有するモルンビー・スタジアムを改修することになっていた。しかし、コリンチャンスがテイシェイラ会長との”親密な関係”を利用し、ワールドカップ会場という名目で念願の新スタジアムを建設することを考えた。
そして、「サンパウロFCは、FIFAの求める規模の駐車場をスタジアム周辺に建設する資金がない」という理由でモルンビー・スタジアムをワールドカップ会場予定地から外すように仕向け、コリンチャンスがスタジアムを建設し、それをワールドカップ開幕戦の会場として使用することをCBFとLOCを通してFIFAに認めさせたのである。
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