「90分間集中して戦えなければ勝てないんじゃないか」
2011年アジアカップでMVPに輝き、名実ともに日本代表の大黒柱に君臨した本田圭佑は、その後のCSKAのゲームでも好調を維持していた。10-11シーズンのロシアカップ決勝・アラニア戦では途中出場ながら決勝点をアシストし、11-12シーズン開幕直後も18試合出場7得点と好調をキープしていた。
まさに勢いに乗った状態で、彼は2011年8月中旬に一時帰国し、10日の日韓戦に挑んだ。直前にかつて日本代表で活躍した松田直樹が急逝するというアクシデントが発生。日本サッカー界全体が意気消沈し、日本代表もこの試合で黙とうを捧げることが決まった。珍しく試合前に喋った本田もこんな思いを口にしていた。
「本当に残念なことだと思います。本人にもやり遂げたいことがまだまだあったでしょうし、周りもすごく深く悲しんでいるようだと聞きました。僕は直接の知り合いではないんですけど、周りが松田さんの意思を受け継いで、松田さんがやり遂げたかったことを周りがやっていければ、報われるんじゃないかなと思います」
さらに、ザックジャパン発足直後だった2010年10月以来の日韓戦ということで、特別な意欲も胸に秘めていた。
「まずタフな試合になることは間違いない中で、守備なら自分たちのゴール前、攻撃なら相手のゴール前で、どれだけのお互いがクオリティの差を見せられるか。見せられなければ負け、見せることができれば勝てると思います。
中盤は結構ゴチャゴチャになると思うので、最後のところの集中力が切れるか切れないという細かいところの差が大事になってくる。90分間集中して戦えなければ勝てないんじゃないかと思います。
監督とは会った時にはお互いの状況を確認しているし、意思疎通は図れています。僕は常に勝ちにはこだわってますし、やっぱり内容も求められてくる。6月のペルー戦、チェコ戦とは違う戦い方になると思います」と宿敵との真っ向勝負を前に、彼は改めて語気を強めた。