「小野あってのWSW」
「うちは、元々サッカー好きで、地元のクラブだし、小野選手の所属に関わらず、WSWを(これからも)熱心に応援していきます。でも、来季からの彼のいないWSWは応援しないという日本人が出てきても驚かないですよ。やっぱり、『小野がいるからこそ』っていう人は結構いますから」
日本から遠く離れた地で、期せずして日本サッカーのレジェンドのプレーを見られるようになった喜びが大きかったからこそ、その至福の時間の終焉を知らされたときの失望感も大きい。
小野の退団と共に日本人在住者の一部が、スタジアムから足が遠のいてしまうのは寂しいことだが、彼らにとっては「小野あってのWSW」だったとすれば、それを翻意させるのはなかなか難しい相談だろう。
日豪両国の今回の報道における温度差に話が及んだ時、地元で接客業に従事するエリさんは、以下のように地元ならではの話を聞かせてくれた。
「確かに(当地の)メディアはほとんど取り上げ無かったですね。私も、日本からの報道に一喜一憂してましたから。でもね、さすがにWSWの地元は違うんです。やっぱりみんな、小野選手の動向を気にしてますよ。
何と言ってもクラブの顔ですから。私が日本人って分かると、皆シンジ、シンジって小野選手の話題になりますもん。そんな彼が来季はいないと思うと、とても寂しいですよね」
Shinji Ono、日本が誇る“Tensai”は、本当に地元で愛されている。だからこそ、残りのシーズンとACLでは熱心なサポーターをがっかりさせない働きが求められる。小野には、自らのオーストラリアでの選手生活を最高のハッピー・エンドで終わらせる演出者になってもらおう。そして、私たちはその活躍をしっかりと目に焼き付けなければならない。
【了】