堅い守備、攻撃のキーマンはやはりバレンシア
ただ、エクアドルにも強みはある。堅実なディフェンスラインに身体能力の高い2人のボランチを加えた6枚のブロックは強固であり、敵地でも崩壊したのはアルゼンチン戦ぐらい。
そのアルゼンチンとも昨年11月に中立地の米国・ニュージャージーでスコアレスドロー。相手エースのメッシを欠いた親善試合とはいえ、エクアドルにとっては自信を強める試合となったのは確かだ。
守備陣を統率するのはセンターバックのエラソだが、相棒のグアグアと左サイドバックのワルテル・アジョビは経験豊富で、凡ミスがほとんど無い上に不足の事態が起きても柔軟にリカバリーできる。
右サイドバックのパレデスは攻撃的なイメージが強いが、局面でのマンツーマンの対応に抜かりは無い。特にリベリーと対峙するフランス戦でキーマンになる存在だ。
攻撃の大半は現在において唯一のビッグスターであるバレンシアの突破力と右足から繰り出される。彼の最大の武器は鋭いドリブルだが、自陣で献身的な守備をした直後でも、数十メートルを駆け上がって鋭いクロスに持ち込む驚異的な心肺機能が、獅子奮迅のパフォーマンスを支えている。
王道の得点パターンとなるのがバレンシアのクロスからカイセドが豪快に飛び込んで合わせる形だ。本来ならそこに俊英のベニテスが絡むことでフィニッシュに迫力とアクセントが加わるのだが、無くなってしまった武器を望んでも仕方はない。
カイセドの相棒となるFWはもちろん、逆サイドのモンテーロにはフィニッシュの局面でも活躍を期待したいところだ。
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