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連載コラム 11年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ジュニーニョ・パウリスタが語る現セレソン監督フェリポン

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール text by 田崎健太 photo by Kenzaburo Matsuoka

最悪の雰囲気だった2002年W杯予選

 フェリポンはブラジル南部出身、“ガウショ”である。ガウショのサッカーは国境を挟んだアルゼンチンに近く、守備的で激しいとされている。

「フェリポンはまず守備を固める。失点を防ぐことに気を遣っていた。ただ、彼も主要な攻撃の選手には自由を与えていた。今のセレソンならば、ネイマール、そしてフォワードのフレッジには好きにやらせているはずだ。それ以外の選手には守備、戦術を要求する」

 ジュニーニョがフェリポンの率いるセレソンに合流したのは、2002年W杯南米予選終盤のことだった。フェリポンは予選途中から監督を引き継いでいた。

 ジュニーニョは2000年にイングランドのミドルスブラからブラジルのバスコ・ダ・ガマへ移籍していた。バスコでは、ロマーリオ、ジュニーニョ・ペルナンブッカーナたちと2000年のブラジル全国選手権、メルコスール杯を獲得。サンパウロ時代の才気溢れるドリブルに、試合の流れを読む賢さが加わっていた。

 2001年10月7日に行われたチリ戦にジュニーニョは招集されている。試合前、チームを取り囲む空気は最悪だった。前の試合でブラジル代表はアルゼンチン代表に1対2と敗れていたのだ。

「チームは、非常に難しい状態だった。チームには、リバウド、カフー、ロベルト・カルロスなど有能な選手がいたが、南米予選の苦戦に加えて、前回大会の98年で失敗したことで自信を失っていた。フェリポンはまず選手を信頼し、選手本来が持っている姿に戻した」

 この試合、ジュニーニョは終了直前にリバウドに代わってピッチに立っている。試合は2対0でブラジルが勝利した。続くボリビア戦でもジュニーニョは途中出場、最終戦のベネズエラ戦では先発出場した。そして、2002年W杯本大会出場メンバーに入った。

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