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連載コラム 11年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ジュニーニョ・パウリスタが語る現セレソン監督フェリポン

ジュニーニョ・パウリスタは現ブラジル代表監督のルイス・フェリペ・スコラーリ(通称フェリポン)の切り札的存在だった。優勝した2002年も招集され、ここぞというときに起用された。フェリポンを熟知する男が、その手腕を語った。

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール text by 田崎健太 photo by Kenzaburo Matsuoka

ジュニーニョが学んだトニーニョ・セレーゾのポジショニング

 ジュニーニョはサンパウロFCに入ったばかり頃、監督だったテレ・サンターナから繰り返し言われたことがある。

「スペースを探せ、フリーでボールを受けろといつも言われたね。そして、トニーニョ・セレーゾのプレーを良く見ろと。ぼくはセレーゾのポジショニングから多くを学んだ。彼はいつもフリーでボールを受けていた」

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トニーニョ・セレーゾ 鹿島アントラーズ監督【写真:松岡健三郎】

 現・鹿島アントラーズ監督のセレーゾは、ASローマ、サンプドリアなどイタリアのセリエAでプレー、92、93年シーズンはサンパウロFCでプレーしていた。

 1955年生まれのセレーゾはこの時、30代後半になっていた。確かな足元の技術とポジショニングがサッカー選手にとって何より必要であるという見本だった。

「フリーでボールを受けるという意識はサンパウロFC時代はもちろん、その後、イングランドでプレーした時に大いに役に立った。イングランドの選手はブラジルよりもより激しく当たってくるからね」

 テレは選手の個性を活かす指導者だった。

「テレは芸術サッカーを愛した。そして戦術よりも個人の特性を大切にした。選手の個性を消さずに、練習で欠点を修整していったんだ」

 芸術サッカー――フッチボール・アルチは、選手の即興性、美しいパス回し、攻撃的なサッカーを意味する。現ブラジル代表監督のルイス・フェリッペ・スコラリはその極北に位置するように見える。

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