「若い選手にお客さん感覚があった。そういうところはみんなで変えていこうと話した」
「ホントにチームメートのことを祈ってるしかなかったですね。自分も蹴りたかったけど、永嗣もやってくれると思ったし、みんな冷静に決めてたんで。先行だったんで先行のチームはすごくいいし、試合始まりと延長ではコイントスに負けてたんで、ヤットさんが勝ってくれてよかったかなと思います」と長谷部は振り返る。
アジア王者に王手をかけた日本。オーストラリア戦は相手のロングボールに苦しみ、日本は終始劣勢に回った。川島のスーパーセーブがなかったら、失点していた場面は何度もあった。それでも彼らは集中して守り、延長までもつれこみ、李忠成の決勝点へとつなげた。
6試合全てに先発した長谷部も疲労困憊だったが、高度な集中力を維持し、チーム全体を統率することだけは忘れずに行った。「日替わりヒーローというか、あまり試合に出てなかった選手も結果を残しましたし、勝てる大会はこうなのかなと思います」と大役を果たしたキャプテンは勝利の安堵感をのぞかせた。
けれども、個人的なパフォーマンスには納得していなかった。
「こういう短い間隔での大会で、韓国戦の最後とか決勝はもっと動かないといけないと思うし、攻撃にも顔を出さなきゃいけない。個人のレベルを上げないと世界では勝てないなというのは感じてます。守備をしながらも攻撃にいける選手もいるから、そういうところは求めていきたいなと思ってますけど」
そして、チームメートに厳しい要求をすることも忘れなかった。
「最初にここに来た時、若い選手にお客さん感覚があったんで、そういうところはみんなで変えていこうと話をしました。まだ甘い部分はありますけど、この大会を通して間違いなく成長はした。
これをやめないでどんどん続けていってほしいなと。アジアカップ優勝が頂上じゃないんで、それぞれがチームに帰って高い意識を持ってやってほしいなと思ってます」
激闘を潜り抜け、本物のリーダーになった長谷部。チームには浮き沈みがある。ザックジャパンも低迷した時期があった。そんなチームを支え、再び上昇気流に乗せることが出来たのは長谷部がキャプテンとして、リーダーとして、力強く牽引していったからだ。
ブラジルではさらに厳しい戦いが待っている。勝利のためには長谷部のキャプテンシーが重要であることは言うまでもない。
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