試合のリズムを変えた“秘密兵器”
トヨタカップはトヨタ自動車が冠スポンサーとなっていた。スポンサーメリットを守るため、ユニフォームメーカー以外のスポンサー企業の広告をユニフォームに入れることを禁じていた。参加する両クラブともトヨタカップ専用の一切スポンサー企業名が入っていないユニフォームを製作していた。
「上下とも余りに大きくてね。下のパンツは四回も折り返したんだ。鏡の前に立った時は恥ずかしい気分だったよ。子どもに見えたかもしれないけど、あの時ぼくはもう20歳だったんだ」
長袖の大きなユニフォームを着たジュニーニョは得意のドリブルを仕掛け、何度もゴールに近づいた。
「あの時、ぼくはレギュラーではなかった。ただ、テレはぼくに“お前のような選手は他にいない”と評価してくれた。後半から入れるので、試合のリズムを変えろと指示されていた。だからぼくは秘密兵器と呼ばれるようになったんだ」
ACミランは1点を返し同点に追いついたものの、試合終了間際、サンパウロはミューレルが勝ち越し点を上げ、3対2で二連覇を成し遂げた。ジュニーニョの切れのあるドリブル、ボールキープは試合の中で輝いていた。
【次週に続く】