トヨタカップ制覇のメンバー、ドリーバ
イトゥアーノのクラブハウスは簡素なコンクリート造りの平屋建てである。話を聞いた12月13日は、来季のユニフォーム発表の記者会見が行われていた。記者会見の後、食事に出かけたジュニーニョを待っていると、ジャージ姿の男が入ってきた。イトゥアーノの監督だという。東京から来たと自己紹介すると、「ようこそ」と強く手を握った。
「東京と言えば、ぼくたちがトヨタカップを獲ってから昨日で20年じゃないか?」
その言葉を聞いて、彼の精悍な顔に見覚えがあることに気がついた。元ブラジル代表のドリーバである。
ドリーバもまたサンパウロFC時代のテレ・サンターナに才能を見出された選手だった。
サンパウロの他、ポルトガルのFCポルト、イタリアのサンプドリア、スペインのセルタ・デ・ビーゴ、イングランドのミドルスブラ、ブラックバーンでもプレーしている。98年W杯フランス大会のメンバーにも選ばれた、中盤の選手である。
「20年前、ぼくは国立競技場であなたのプレーを見ていたんだよ」。ぼくが応じると、「あの時はおかっぱ頭をしていたから、見違えただろ」。ドリーバは笑いながら短髪を撫でた。
20年前――1993年12月12日のトヨタカップは、南米代表のサンパウロFCと欧州代表のACミランが対戦した。
サンパウロFCはキーパーがゼッチ、ディフェンスにカフー(元代表キャプテン)、バウベル、ロナウダン(後に清水エスパルス)、アンドレ。中盤にドリーバとトニーニョ・セレーゾ(現鹿島アントラーズ監督)、ジーニョ、レオナルド(後に鹿島)。フォワードの2人はミューレル(後に柏レイソル)とパリーニャという布陣だった。