ベルギーが露呈した2つの懸念
では、ベルギーが連敗を許した要因とは何だったのか? その一つが、チームとしての脆さを露呈したことである。日本戦のベルギーは、あまりにも呆気なかった。試合を追うごとに覇気を失うその様子は、まるで路頭に迷った子犬のようであったとさえ言える。
この試合、日本はベルギーの選手たちが密集するピッチ中央への侵入を早々に諦める。一度サイドに展開し、サイドで数的優位を作って攻め崩すプランが功を奏し、あのベルギーから3得点を奪い去った。さらには、前線からの連動したチェックで特に後半、ベルギーにリズムを与えなかった。
そして、この悪い流れを立て直す力がベルギーにはなかったのだ。ただでさえ、強烈なキャプテンシーを備えたコンパニが不在であった。ベルギーにそれだけの逆境を跳ね返す力がなかったと言えばそれまでだが、少なくともコンパニがいれば、これほどあっさりたたみかけられることはなかっただろう。ある程度自分たちのペースで戦える分には問題ないが、劣勢の状態になると萎縮してしまう気配がこのチームにはあるようだ。
また、ベルギーは大量得点を奪うタイプのチームではない。欧州予選でも10試合を戦い18得点と、比較的効率の良い戦い方で勝ち点を積み重ねてきた。それだけに、ストライカーのその日の出来が試合結果を大きく左右する傾向がある。
日本戦の5日前に行われたコロンビア戦では、先発出場したクリスティアン・ベンテケが2、3度あった決定機を外し、決定機の数ではほぼ五分であった試合を0-2と落とした。ベンテケもロメル・ルカクも、驚異的な身体能力を持った将来が楽しみなストライカーであることに間違いはない。しかし、困った時に頼りになるほどの決定力があるかと言えば、正直疑問である。
逆境に陥った時の軌道修正能力と、絶対的なストライカーの台頭――。ベルギーが期待以上の結果を残せるかどうかは、この2点に懸かっている。