初招集のバイデンフェラー。なんと33歳
最近の試合を観ていると、ドイツ代表のスタイルはまだまだ試行錯誤の段階と言えそうだが、先発にはバイエルン所属の選手が名を連ねることが多いこともあって、ペップ=バイエルンのエッセンスを取り込んだ、中盤で人数を掛けパスを繋いでいくサッカー、と言えそうだ。
絶対的なFWは不在だが、前線にはエジル、ゲッツェ、シュールレ、ミュラー、ロイスといった十分な得点能力を持つアタッカーが顔を揃えている。
そういった中で異彩を放ったのが、33歳にして初招集、ロマン・バイデンフェラーである。レーブはバイデンフェラーに何を求めたのだろうか。招集時における同氏のドイツサッカー連盟公式サイト掲載のコメントを見ると、「現時点でのナンバー1はノイアー」としつつ、実力を買っているのは間違いない。
先のイングランド戦には先発フル出場し、1-0の勝利に貢献している。単なるバックアップ要員のテスト、ともとれるが、それだけだろうか。
レーブは自らの信条のもと若手を積極的に登用してきたが、2013年8月12日付のkicker誌に掲載された同氏のインタビューによれば、ベテランと若手の融合、という考え方も持ち合わせているようである。
そのことを鑑みてみれば、11月のタイミングでバイデンフェラーが招集されたことも合点が行く。そして招集されたバイデンフェラーの胸中が、サッカーに出会ったばかりの少年の頃のような新鮮さに満ちていたであろうことは想像に難くない。
この招集によって、バイデンフェラーがベテランの経験とメンタル面での若手の新鮮さをドイツ代表へと同時に注入したのは間違いないだろう。老成した少年、それが現ドイツ代表でのバイデンフェラーの正体なのだ。
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