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かつての“未開の地”が挑む“サッカー大国”への道。クリンスマン監督はW杯でアメリカを躍進させることができるか?

text by 池田敏明

堅守速攻からポゼッションスタイルへの変更

かつての“未開の地”が挑む“サッカー大国”への道。クリンスマン監督はW杯でアメリカを躍進させることができるか?
アメリカ基本フォーメーション

 現役引退後はアメリカに居住し、ドイツ代表監督に就任した際にもアメリカ人のフィジカルコーチを起用するなど、クリンスマンは元々、この国のことを熟知している。アメリカに何が足りなくて、どんな改革を施せばいいのかを十分に理解していた彼は、すぐさま改革に乗り出していく。

 ランドン・ドノヴァンやクリント・デンプシー、マイケル・ブラッドリー、ジョジー・アルティドールといった既存の戦力を軸に置きつつ、クリンスマンは積極的に新戦力を試していった。

 国内はもちろん、アメリカにルーツを持ちながらヨーロッパでプレーをする選手を積極的に勧誘して代表に取り込み、選手層を厚くしていった。ドイツから鞍替えしたファビアン・ジョンソン、アイスランドの年代別代表で10番を背負ったアーロン・ヨハンソンなど、大半がチームの中軸を担っている。

 また、指揮官はチーム戦術にも大きな変更を施した。これまでは堅守速攻を機能させるために4-4-2の布陣で戦うことが多かったが、現在はスペイン代表やドイツ代表と同じ4-2-3-1を採用している。

 中盤を厚くしたこの布陣が意味するのは、堅守速攻ではなくポゼッションスタイルで戦っているということだ。デンプシーがトップ下を務め、ドノヴァンやブラッドリーら技術力の高い選手たちがボールを繋いでチャンスを作り出す。

 CFはアルティドールやエディ・ジョンソン、テレンス・ボイドといった大型の選手が重用される。本格派のストライカーとして鳴らしたクリンスマンが、自身の現役時代の姿を重ね合わせているのかもしれない。

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