「トゥーさん(闘莉王)なら3点くらい取ったと思います」
不穏な空気を払拭できないまま時間が刻一刻と過ぎ、1点のビハインドを背負った状態でロスタイムに突入した。ここで日本は左CKを得る。ここで再び吉田が強烈な存在感を示す。長谷部誠のクロスに飛び込みヘッド。起死回生の同点弾を叩き込む。
日本は追い込まれながら、何とか勝ち点1を獲得。日本のアジアカップ制覇は吉田麻也から始まったといっても過言ではない。
「僕自身代表2試合目で難しいところがあった。ヨルダンはカウンターだけだと思っていたんで、1対1になる場面を作るよりは、つねに数的優位を作ってチャレンジとカバーをしっかり出来るようにコミュニケーションを取るように意識した。
でも、それができなくなって、遅れた状況で足を出すとああなってしまう。永嗣(川島)君とも話をしたけど、ニアだけを待ってファーは任せるという手もあったと思う。僕も成長していかないといけないし、アジアで勝つのが難しいのがよく分かりました。
得点の時はクロスを上げると相手がニアで引っかかる回数が多かったのでファーに入った。1点は取れたけど、トゥーさん(闘莉王)なら3点くらい取ったと思います。トゥーさんはビルドアップ能力も高いし、自分は足りないところが多い。レベルアップしないといけないと感じました」と彼は2010年南アフリカW杯16強の原動力となった先輩DFに思いを馳せた。
「世代交代」を1つの重要テーマに掲げるザック監督は、不安定な部分を垣間見せる若きDFを辛抱して使い続けた。吉田は続く13日のシリア戦でフル出場。1次リーグ突破が決まった後の17日のサウジアラビア戦は後半18分に岩政大樹と交代するまでピッチに立った。