守備陣は不安定。バランスも悪く…
欧州予選の得点ランク2位のジェコ(10得点)と3位のイビシェヴィッチ(8得点)の強力ツートップ。それを支えるピャニッチとミシモヴィッチのダブル司令塔。ジェコとミシモヴィッチはヴォルフスブルクで、イビシェヴィッチとサリホヴィッチはホッフェンハイムで長く一緒だったこともあり、彼らの「ホットライン」も攻撃の武器になる。
しかしながら、今のチームは強豪に勝った例がなく、W杯抽選会で同グループに入ったアルゼンチンとの親善試合もあっさり0-2で敗れ去った。
ディフェンスラインの層の薄さに加えて、チームバランスの悪さも懸念材料だ。第一にジェコとイビシェヴィッチのバックアッパーがいない。ボランチのメドゥニャニンは元々二列目の選手だけに攻撃力は備えるが、ワンボランチを務めるにはスピードに欠ける。アドナン・ザヒロヴィッチ(ボーフム)は展開力がなく、ツーボランチの一角しか任せられない。
そんな中、「ゲネラル」(将軍)こと37歳のMFエルヴィル・ラヒミッチ(CSKAモスクワ)と、かつてのエースストライカーだった32歳の長身FWズラタン・ムスリモヴィッチ(貴州人和)の代表復帰をオシムは提言している。
「チーム構成に若い選手が多くなればなるほど、経験がより必要になってくる。ベテランを直ぐにレギュラーに据えろというわけじゃない。チームメイトが彼らを見て学ぶことは多いということだ」
それこそオシムはユーゴ代表を率いた1990年のイタリアW杯で、当時35歳だったMFスシッチを周囲の批判を省みずチームの中核に置いた。準々決勝でマラドーナのアルゼンチンにPK戦で敗れてしまったが、スシッチは10歳年下のドラガン・ストイコヴィッチと共にユーゴ攻撃陣を牽引した。
W杯出場を契機にボスニアをルーツとした選手の代表売込みは民族問わず激しくなる一方、これまでの代表メンバーが本大会で落選しないよう、スシッチ監督に代理人らが掛けてくる圧力は相当なものだ。そんな中、果たして彼は恩師と同じような英断が下せるだろうか。
担当記者による分析
目標:ベスト8
ノルマ:ベスト16
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